心を開く質問
私は音楽が好きなので新しい楽器を見ると試してみたくなります。 数年前に沖縄に遊びに行ったときに三線を弾いてみたくなり体験レッスンを受けました。 かなりお弟子さんもたくさんいる先生のようですが、 とても気さくな方でレッスンの後にさんぴん茶を出してくれて、 しばらくおしゃべりをしていました。 私がバイオリンを弾くという話をすると、先生は興味津々でバイオリンについていくつもの質問をしました。 その一つが次の質問でした。 「バイオリンを弾くときに歌は歌うの?」 そんな質問を受けたこともないし、そういう発想もなかったので私はびっくりして笑いそうになりましたが、 失礼がないように「顎で楽器を支えないといけないので歌は歌いません」と冷静に答えました。 すると先生はポツリと「口があるのにもったいないね」とおっしゃったのです。 「ああ、三線を弾くときはまず歌ありきなのだな」ということがダイレクトに伝わってきて 深く感動しました。 クラシック音楽の知識がある程度ある人なら、こんなことを聞くなんて恥ずかしいと思う人もいるかもしれません。 でも先生が音楽への情熱から知りたいことを聞いてくれたおかげで、 三線の世界が私に伝わってきたのです。 私たちは恥をかくことを恐れて、自分があまり知らないことについて自由に質問できなくなることがあります。 どういう質問をすれば相手に賢く思われるかとか、 馬鹿な奴と思われないかなどと相手に注意が向きすぎて、 会話の中に自分がいなくなって、結果的に表面的な話に終始してしまいがちです。 でもこの先生との対話から学んだことは、 自分の本当に知りたいことを率直に聞くことは自分の心を相手に開示することであり、 そのことで相手も心を開くことができて、 深く心を通わせることもできるのだとということです。 どんな相手に対してもこの先生のように自分の軸を忘れずに、素直に心を開いていけるようになりたいです。